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Nosferatu (2024)を観て

  • Writer: Nebula
    Nebula
  • Apr 13
  • 4 min read

Updated: Apr 29

“If we are to tame darkness, we must first face that it exists.”


はじめに

少し前に観た映画、Nosferatu (2024) についての記事です。

日本でも近い内に劇場公開されると思います。

この記事は2025年3月29日にNoteに投稿した内容を一部改変したものになります。



あらすじ

ネタバレ注意です。

序盤〜中盤の流れのみ書いています。

不動産業者のトーマス・ハッターは、仕事のため自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵のもとへ出かける。トーマスの不在中、彼の新妻であるエレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から、夜になると夢の中に現れる得体の知れない男の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる。そして時を同じくして、夫のトーマスやエレンが滞在する街にも、さまざまな災いが起こり始める。



感想

本作はDracula(吸血鬼ドラキュラ)という小説を元ネタにしたサイレント映画である、Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens (1922)のリメイクである。

ドラキュラの純粋な怖さだけではなく人と人の関わり合いといった部分にも焦点が当てられており、現代的な再解釈が味を出している。


私は1922年の方の作品を観た事がなく、ストーリーは全てが初めて知る内容だった。

そのため、過去作由来の展開についてもここに感想を書く事にする。


まず、ペストに話が結びつくとは思っていなかった。

私は、オルロックの引越後は単純に「ドラキュラの存在が恐怖を街に広げていく...」といった展開になると考えていた。ディズニーでありそうな流れである。

しかしながら、私の予想に反しオルロックは病原体を通して恐怖を広めた。

正直オルロックよりネズミの方が直接的に怖く感じるくらいではないだろうか。

偶然にもパンデミックを直近に経験した私たちにとって、疫病の蔓延による恐怖とその正体を掴めない人々、純白の雪の中運ばれる黒い棺桶から滲み出る悲痛はリアルに感じられるものである。

またオカルトと科学の対比、という部分にも現代社会と繋がる要素が見て取れる。


オルロックのエレンへの執着のきっかけも良かった。

ロケット(locketの方)を見たのがオルロックとエレンの関わりの始まり...という展開でも話の論理は十分通るのだが、本作では「トーマスに合うよりもずっと昔に彼女はオルロックを呼び起こしてしまい、それ以来2人は超自然的な繋がりを持ってしまった...」という内容にすることで、エレンの心そして恐怖の描写に深みを出している。


演技に関しては、そもそも俳優陣が凄く豪華だ。

エレン役はジョニー・デップの娘であるリリー=ローズ・デップ、トーマスはニコラス・ホルトが演じており、他の配役にも有名な演者が揃っている。

誰を取っても観ていて「この俳優さん〇〇に出てた人だ!」と気付かないくらい役にハマっており、違和感も一切無かった。

私は何よりも作品全体を通して、リリー=ローズ・デップの怪演ぶりに驚いた。

後半の明らかにオルロックに取り憑かれているシーンはもちろんのこと、それ以外のシーンも彼女は自らのうちにある恐怖に取り憑かれている。

私は元の話を知らないし、英語のセリフの中にある微妙な心情を読み取る事もできない。

しかしながら、そんな私でも彼女の視界から拭えない「恐怖」をみる事が出来た。

これはひとえに彼女の演技力から来るものなのだろう。


演技の素晴らしさもさる事ながら、本作は映像表現がやはり一番印象的であったように感じる。

映像表現..といっても派手なCGではなく、各ショットに現れるコントラスト、色味、カメラワークなどの事だ。

淡い色とモノカラー、不気味な月光、ぼわっと光る炎など...色と光を通し、開始5分で作中の中世的世界観に取り込まれる事になる。

また、本作では暗闇が非常に特徴的に描かれている。フィルムで撮影されており、月の光のみが照らす中で闇、そして影がリアルに描写されている。



全体を通して世界観が凄く引き立てられており、非常に見応えのある作品であった。


余談であるが、撮影に使っているネズミは本物らしく、倒れた登場人物の体の上を蠢いていたのもCGやレプリカではないようだ。エマ・コリンは特に臭いの酷さに触れていた(記事)。


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